Lab.

オフィスを出たら集中力が上がった?
「場所」の違いから見る「集中力」の変化

アタマLAB. 2016.08.26

メガネに内蔵されたセンサーが、アタマ・ココロ・カラダの状態を計測してリアルタイムで数値化。さらにその3つの指標から集中状態をポイントで表示することができる、メガネ型ウェアラブルデバイスのJINS MEMEと JINS MEME OFFICEアプリ。

人々のあらゆる「集中力」を可視化できるJINS MEME OFFICEでは、現在様々なテーマでの実測実験を行っています。

今回のテーマは「場所と集中力」の関係性について。フリーランスの人はもちろん、最近では「フリーアドレス」や「リモートワーク」、「ノマド」という言葉と共に、企業に務めるオフィスワーカーの中にも、「仕事をする場所を選択できる機会が増えてきた」という人も多いのではないでしょうか?

人間の集中力は場所によってどう変化するのか、実際に様々な場所で仕事をして、その集中度をJINS MEME OFFICEで計測して検証してみました。

3人のオフィスワーカー×6つの異なる「場所」。仕事中の集中力の違いは?

「場所」や周囲の環境が違うと、人の「集中力の度合い」はどのように変わるのでしょうか……?

今回の実験に参加したのは、メーカーの商品企画部門に勤めるAさん(33歳)、広告関係の代理店でプランニング職に就いているBさん(33歳)、同じく広告関係の代理店で営業職に就いているCさん(29歳)という3人のオフィスワーカーたち。

3人とも職業柄、書類作成などPCを用いた業務が占めるウェイトは、1日の中でも比較的高いそう。
そんな3人が、「自分のオフィス」「公園」「賑やかなカフェ」「静かなカフェ」「図書館」「ワーキングスペース」の6箇所で、PCを用いたデスクワークを30分間ずつ実施。その間にJINS MEME OFFICEアプリを用いて、集中力を計測しました。

Aさんの結果

Bさんの結果

Cさんの結果

3人の平均

面白いことに、3人の計測結果に共通したのは「自分のオフィス」で仕事をした時の集中力が他の場所に比べて“低い”という点でした。
AさんとBさんにおいてはなんと、オフィスでの集中力が最も低く、Cさんも2番目に低い数値に。一方で、最も集中できる場所は人によって異なることもこの結果から分かります。

働く場所や働く形態が多様化した今、オフィスが一番集中できる環境だとは一概には言えないようです。また、人によっても集中できる環境というのは様々。同じカフェであっても、お店によって音楽や店の雰囲気が少しずつ変わるので、集中力にもさらなる変化が見られるかもしれません。

これらのデータをもとに、アスリートの超集中状態=ゾーンなどについて見識が深く、医学博士でもある石川善樹さんにお話を伺いました。

自分が集中できる環境を正しく把握することが生産性向上への近道

今回の測定結果からどのような傾向が見えたでしょうか?

「今回の測定結果からは、普段働くオフィスよりも、場所を変えることにより集中力が高まる傾向が見受けられました。企画書作成や文書執筆など、長時間かつ継続的な集中を必要とする作業を行う場合、会議・電話・メール処理など突発的なタスクが常時降りかかってくるオフィスは、集中する環境として不向きなことがあります。

オフィスで仕事をすることを否定するわけではありませんが、時として、オフィスよりもカフェなどで作業した方が、仕事がはかどることがあります。
これは、単に邪魔されない、というだけでなく、環境音や室内の明るさ、匂いなど自分を取り巻く背景情報が五感に与える“ポジティブな影響”が、私たちの想像よりも大きいことを示唆しています。一般に、学習に代表される一定の認知タスクを必要とする作業においては、「場所を変えること」が記憶定着の向上につながる傾向も確認されています」

集中するためのベストな環境とは、どういった環境でしょうか?

「一般に、五感(オフィスワークの場合は、特に聴覚、嗅覚、視覚)を他のことに使わないで済む環境ほど集中が高まること言われていますが、「これ」といった画一的な正解はありません。これは人の生まれ育った環境によって大きく異なります。

今回の実験では、「音」において面白い傾向が見られました。結果からは、静かな場所の方が集中できる人もいれば、適度な雑音があった方が集中できる人もいると分かります。
集中を阻害するほどの音量は例外ですが、適度な音楽や喧噪など、人によっては適度な雑音がある方がむしろ周囲と自分の空間を切り離すことができると感じる場合もあるようです。実際に、ホワイトノイズ(全周波数で均一な大きさを持つ雑音)と呼ばれるノイズを提供するアプリなどを効果的に使用し、集中を高めようとする人も多くいます。
一方で、無音に近い環境を好み、作業時にノイズキャンセラーイヤホンなどを活用する人方もいるようです」

人によって最も集中できる場所が異なるのは、何故でしょうか?

「生育環境、勉強環境、就業環境や、作業内容と作業環境の組み合わせといった様々な要因によって、最も集中できる場所が異なってくると考えられます。
これは潜在的に身に付いているものなので、自分が集中できる環境を客観的に認識することは困難です。自分では集中できると思っていた環境が、実はそれほどでもない場合や、意外な環境で意外な作業をすると集中力が高まるといった“自分だけの特性”が備わっている可能性もあるはずです」

最も集中できる場所を知ることで、どういったメリットがあるのでしょうか?

「人間は1日4時間しか集中することができないとする説があります。だからこそ、JINS MEME OFFICEで自分が集中できる環境を正しく把握したり、そうした場所を探索的に求めることはオフィスワーカーの生産性向上に重要な意味を持つのではないでしょうか」

石川善樹(いしかわ・よしき)| 株式会社キャンサースキャン イノベーションディレクター/医学博士
1981年・広島県生まれ。東京大学医学部健康科学・看護学科卒業後、ヘルスケア系コンサルティング会社に勤務。ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程を経て、自治医学大学より博士号を修得。予防医学を専門とし、株式会社キャンサースキャンにて、社会を健康にするための各種プロジェクトや健康をテーマとした執筆活動に従事する。

今回の測定結果詳細

自分のオフィス
各人が普段務めているオフィス

公園
人通りがあり遊園者がいる屋外の公園

賑やかなカフェ
談笑している人が多い賑やかなカフェ

静かなカフェ
会話している人が少ない落ち着いたカフェ

図書館
会話している人がいない図書館

ワーキングスペース
ブースで区切られたワーキングスペース