interview04 橋本健史

「DEEP DATAがもたらすスポーツサイエンスのパラダイムシフト」

歩行時やスポーツ時に体軸のブレを検知する「6軸センサー」。その応用は、人類のライフパフォーマンスを大きく向上させる。

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橋本健史と申します。歩行解析という、人類がどういう格好で歩いて、どういう障害が起き、それを予防するにはどうしたらいいかということを、主にモーションキャプチャーシステムを使って研究をしています。

JINS MEMEには、加速度計と角速度計が付いております。これによってスポーツ選手がどの程度歩いている時に身体がブレてしまっているとか、あるいはその左右のバランスが不均質であるとか、分かるんですね。それをどうやって解消していけばいいか、それからどうやって未然に防ぐかということができれば、障害を予防し、且つスポーツのレベルを上げていくということができる。この2つの重要な意味があるんですね。

歩行解析、あるいはその動作解析の分野では、モーションキャプチャーのような反射マーカーを付けて、詳しく動作解析するシステムが一つあります。それからもう一方では、JINS MEMEのような簡便な計測方法というシステムがあります。モーションキャプチャーの方は、たしかに非常に正確なデータが取れるんですが、非常に大きな装置が必要なんですね。だからこれは実は日常生活の中では、あまり使い勝手が良くない。これに対してJINS MEMEは小さくて身体に常に身に付けられるものですから、24時間、極端に言えば、その選手の行動を追うことができる。それによってリアルタイムで、しかも常にいろいろなシチュエーションでその選手がどういう行動をとったのか、どういう運動をしたのかが分かるんですね。だからこのデータの集積はものすごく大きいと思うんです。

体の中で、最も動かないところが、実は頭部なんですね。最も動かないところに付けるから、その動きを雑音なく拾うことができるんです。MEMEの本来の意味は、遺伝子です。ですから、いろんなたくさんの人の歩行データを、もちろん個人情報はしっかりと担保した上で、次の世代に残していきたい。どういう人がこういう障害を起こした、どういう人が起こさなかったという膨大なデータを集めて、それを次の世代に残していくことができれば、これが本当のJINS MEMEではないかと思うんです。

橋本健史(はしもと・たけし)

慶應義塾大学医学部 准教授。84年慶應義塾大学医学部卒業。86年国立東京第2病院(現国立病院機構東京医療センター)整形外科。94年・95年には日瑞基金派遣研究員としてのスウェーデン、カロリンスカ研究所留学。96年博士(医学)学位取得。慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター整形外科部長などを経て、2013年4月より現職。専門は足の外科を中心とした整形外科、靴の医学、スポーツ医学。

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