interview02 加納 慎一郎

「眼電位が学術研究に大きなチャンスをもたらす」

神経工学の視点から、眼電位検出技術の開発秘話とJINS MEMEが世の中にもたらす可能性を語る。

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加納慎一郎です。芝浦工業大学工学部電子工学科の准教授です。

私の研究の専門は、神経工学と言われる領域です。身体の神経系、例えば脳とか筋肉とか、そういう身体を司っている制御系を工学的に何か応用できないかと、そういう研究をしています。もともと私が今やっている研究は、ブレインコンピューターインターフェイスと言って、脳の活動からその人の意図(何を思っているのか、何をしたいのかといったこと)を検出したり、脳と外界を繋ぐインターフェイスを開発する研究です。

目というのは脳みその先に付いているものなので、実際に心と直結していると思っています。例えば脳の代わりに、目からそういう情報が取れる。そうすれば頭に電極をいっぱい付ける必要がないだろうと。だからメガネを掛けるだけで、比較的脳の信号に比べて取りやすい、目からの信号から、ある程度のその人の情報を取り出したりできないだろうか、ということも考えています。

たぶん、まばたきが一番大きなファクターだろうと思います。眠くなると少なくとも私の場合は、確実にまばたきの回数は増えますし、他の被験者さんでもまばたきの回数が多くなるとか、あるいはある一線を超えてしまうと、逆にまばたきがどんどん少なくなっていって、まばたきのストローク(振れ幅)がどんどん狭くなり、最後にカクンと落ちるというところまでいきますので。そういうものを使うと、眠気と目の動きを同定できるんじゃないかと思っています。たとえば、ドライバーの安全を守るとか、あるいはオフィスワーカーの生産性を上げるとか、あるいは働き過ぎを防ぐとか、そういうことはきっと最重要であるとは思うんですが、他にもいろいろ遊びに使ってもらえるんじゃないかなと思っています。

メガネをかけるだけで、その人の状態が全部わかる。それによってコンピュータも含めて周りの人が適切なケアをすると、ストレスが溜まってもそんなにひどくならない。あるいは疲れてきたら、ちょっと休んでくださいなり、音楽を聞かせてくれるなり、身体にやさしいケアをしてくれるというように、人間の営みや生活をストレスレスにしたいと思っています。

※ インタビュー内の肩書及び組織名は、取材当時のものです。

加納 慎一郎(かのう・しんいちろう)

芝浦工業大学工学部電子工学科 教授。96年東北大学大学院工学研究科 電気及通信工学専攻博士課程修了。博士(工学)。東北大学大学院工学研究科助教、東北工業大学工学部 准教授等を経て、2016年4月より現職。脳の働きを解明し、脳と外界の橋渡しを行うブレイン・コンピュータ インターフェース(BCI)を実現するための研究を行う。

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